SEASONS
「ちょっ……!?」

「あ、ごめん」


引っ込められそうな手を掴んで引き寄せた。

差し出されたその手は、さっきハサミを掴んでいた手。


──掌に血がにじんでいた。



「な、なんで握ったりしたのよ……っ」

「ちょっと懲らしめようと思ってさ。怪我でもすれば少しは大人しくなるかもっしょ」


「……アンタ、バカでしょ……」


その言葉にアイツはなぜかふわりと微笑み、あたしは無意識のうちに血のにじんだ手を両手で包み込んで俯いた。

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