いつわり彼氏は最強ヤンキー［完］

「違う!!違うの!!」と言い訳をしようと、1人であたふたしていると、目を見開いて驚いている佐山君と目が合った。

「ち、違うの!!昨日、久世君ケガしてて、シャツが汚れてたから、洗ってあげただけで…っ!!」

佐山君というより、クラスのみんなに聞こえるように大きな声で言い訳した。いかがわしい誤解はちゃんと解いておきたい！


「はい、久世君！シャツ洗ってきたからね！あら！顔の腫れもずい分よくなったね！」

ペラペラと、不自然なくらい明るく振舞っていると、久世玲人は無言のままシャツを受け取り、自分の席へと戻って行った。


久世玲人めっ…!!

無意識なのか嫌がらせでやっているのか、分からないけど……どちらにせよ、憎らしいっ!!

メラメラと怒りを込めながら久世玲人の背中を睨んでいると、休憩の終わりを知らせるチャイムが鳴り、数学の先生が教室へ入ってきた。


みんなの誤解が解けたかどうかは謎のままだけど、数学の授業は始まってしまった。