いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
「もう慣れたし…うん、大丈夫だよ」

「他にも言ってくる奴いるのか?」

「ううん、特に…」

陰では色々言われてるんだろうけど、直接言ってくる子はほとんどいなくなった。

サエコも最近はおとなしいし。


でも…

「私じゃなくて、久世君の方でしょ?」

「は?」

「色々言われてるのは…。さっきも…」


久世君のこと、ケンカばかりしてる不良としか思ってない人は多いはず。私もそうだったし。

もっとヒドく噂されてそうだ。


「オレは別にいい。慣れてるし、……否定できないからな」

少し苦笑しながら久世玲人は答えた。


「もう…。私より、自分の心配しなよ」

「菜都の方が心配だ。さっきも言われっぱなしで全っ然反撃しねえし」


……こういう所が、ほんとに分からない。

不良のくせに、こういうふいに見せる優しさに、心がくすぐったくなってしまう。

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