いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
「何?」

佐山君は穏やかに声をかけているけど、さっきとは少し様子が違う。

私には爽やかだった笑顔も、久世玲人に向けるものは、挑戦的というか、あまり好意的な笑顔には見えない。

久世玲人も、もちろん笑顔なんてなく、ただ睨み返しているだけだ。




もしかしたら、佐山君は久世玲人のことがあまり好きではないのかもしれない。

そして、久世玲人も。


お互いタイプが違うから、気が合わないのだろうか。


なんか……ここだけ、ピリピリとした空気が漂っている…。


居心地悪…。

平和主義の私には耐え難い。



「あ、あの…」


この空気を破ろうと弱々しく声を発したところで、久世玲人が突然私の腕を掴み、無理やり立ち上がらせた。


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