いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
「んーっ!!」


離して…!!

手で口を塞がれたままだ。

少し離れた所でいい加減離してもらおうと体を捩じらせて抵抗した。


そんな私の様子に久世玲人も気付いたようで、「……あぁ」とパッと手を離した。



「ちょっと…!!さっきの、一体何なんですか!?」

さすがに黙ってられない!!

口が自由になったところで、すかさず久世玲人に詰め寄った。


「わりぃな」

しかし、久世玲人は憤慨している私とは対象的に、冷静に、まるで何事もなかったかのように一言謝るだけ。しかも、謝罪の気持ちなんてないだろうという感じで。


そして、「はい」と半分持っていた課題を私に返し、「じゃあ」とその場からスタスタと去っていった。


………ええぇっ!?

何なのあの人!!

あ、ありえないっ!!!!
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