いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
チラッと後ろの久世玲人の席に目をやった。

授業は終わっているというのに、机に突っ伏したまま爆睡している。

……このまま、何も言わずに帰っちゃえばいいのでは?

でも、そうしたらあとが恐いかも…。前に屋上から勝手に帰っただけで、不機嫌丸出しだったし。


どうしようかと考えていると、佐山君の声が聞こえてきた。


「……もしかして、久世のこと気にしてる?」

「あ、うん…」

勝手に帰ると怒られるかな…?いや、もしかしたら声をかけなくてすむから好都合だと思ってくれるかな…?

久世玲人を見ながら佐山君に一言返すと、少しだけ硬くなった声が返ってきた。


「最近、久世とよく一緒にいるよね」

「え!?」

その言葉に思わず顔を向けると、佐山君は硬い表情で私を見ていた。


「……うまくいってるんだ?」

「え、いや…。どうだろ」

ははは、と誤魔化していると、「原田さん」と佐山君は硬い表情のまま言葉を続けた。

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