いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
そーっと見上げると、案の定、そこには久世玲人が立っている。


しかも、恐ろしいまでに不機嫌な顔で。


「あ、久世君…」

いつの間に起きたんだ!

怯えながら声をかけるけど、久世玲人は私の声には反応しない。隣の佐山君を鋭く見据えている。


「帰るぞ菜都」

「待って、佐山君が…」

まだ話しが途中のままだ。

続きの言葉を聞こうと佐山君に「ずっと?」ともう一度聞き返すと、佐山君は苦笑しながら首を横に振った。


「また、今度話すよ」

「そう…」

邪魔されたから、さすがに言いにくいのかも。

それじゃあ…。

チラッと久世玲人に目をやった。

みんなと勉強したいから、一緒に帰れないと説得しなければいけない。



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