いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
そして無事、電車に2人乗り込んだ。

お休みの日とあってか、お昼どきでも意外と人が多く、結構車両内は混んでいる。

電車の揺れにつられて、あれよあれよと人の波に流されそうになっていると、「菜都、こっち」と、久世玲人が手を引いてくれた。

人に押しつぶされないように、まるで私を守ってくれるかのようにドア側のすき間に入れてくれる。


「大丈夫か?」

「う、うん…ありがとう…」

どうしたんだ久世玲人…。今日はやけに紳士だ…。


さっきから動悸がおさまらない。


どうしよう!!これは走ったからじゃない!!

明らかに久世玲人にドキドキしている!!

異常事態に、もう心の中はパニックだ。

しかも、先ほど引いてくれた時からずっと手は繋がれっぱなし。


何で……。


困り顔で久世玲人を見上げるけど、気にしていないのか、そ知らぬ顔で外の景色を見ているだけだ。


何で手を離さないんだ久世玲人!!





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