いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
「ほんとに旨そうに食うな」

「だって、美味しいんだもん」

私の食べっぷりがそんなに凄かったんだろうか。

おかしそうに言う久世玲人に冷静に返すと、さらに笑われた。


なるほど。

私の食べてる様子が面白かったから、見てたのか。失礼だなぁ。


さっきの不可解な視線をようやく理解しながら、モグモグと手を進めていると、再び笑われながら「菜都」と呼ばれた。


「……何?」

そんなにからかいたいの!?

若干イラつきながら顔を上げると、久世玲人の手がスッと伸びてきた。


「ついてる」

その手をよける間もなく、口元に久世玲人の指が触れ、付いていたと思われるデミグラスソースを拭い取られた。


「ぅわっ!!」

な、何するのっ!?今指で!指で拭ったよね!?

あまりの出来事に思わず体を仰け反らせながら声を上げると、周りの客や店員にチラッと見られた。


私の狼狽えぶりに、久世玲人は、「そんなに驚くか?」とクスクス笑っていた。

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