いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
猛ダッシュで逃げた先は、道路を挟んで向かいの本屋さん。

ゼエゼエ息を切らしながら店内に入ると、店員さんが怪しい視線を向けてくる。しかし、今はそんなこと気にしてられない。

ここからならちょうど向かいの様子が見え、久世玲人もサエコも隠れて見ることができる。


ここまでする必要があるのかどうか自分でも分からないが、ドキドキしながら外の様子を観察していると、「原田さん?」と声をかけられた。


ま、まさかここにも知り合いが!?

声がした方に恐る恐る振り返ると、なんとそこには佐山君。


「さ、佐山くん!?」

何でここに!?

どうして今日はこんなに遭遇率が高いの!?


過剰に驚く私を見ながら、佐山君は穏やかに表情を緩めた。


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