いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
驚きすぎて佐山君を凝視していると、照れたような笑顔を返された。

「……どうかな?」

「え、いや…その…」

よりによって今日とは…!!

久世玲人と一緒じゃなければ、喜んで共に行動するのに…!!


心の中で悔しがりながら、泣く泣く佐山君の嬉しい申し出を断る。


「ごめんね…友達も一緒だし、かなりの人見知りだから…」

「…そっか、残念」


本当に残念そうな顔をする佐山君に、もう一度「ごめんね…」と呟いた。

私だって残念でたまらない。こんな機会、めったにないだろうに。


「…じゃあ、もし気が変わったら連絡して?」

「う、うん…」

そう言って佐山君は腕時計で時間を確認し、「じゃ、俺そろそろ…」と外をチラッと見た。

「あ、クラスの友達待たせてるんだったら、どうぞ?私、まだ少しここにいるから」

「そう?じゃあ、また…」

「うん、またね」

そろそろ私も久世玲人の様子が気になる。

ほったらかしのままだ。
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