いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
「原田さん、あれからどうしたの?」

「……あれから?」

なんだろう、と一瞬考えたけど。

あ、そうだ……土曜日のことか。そういえば本屋で偶然会ったよね。その後の久世玲人のおかげですっかり忘れていた。


「うん、すぐ帰ったんだー…」

ハハハ、と苦笑いしながら返していると、佐山君は少し残念そうに笑った。


「そっか。あのあと、連絡あるかとちょっと期待したのに」

「え…?」

そういえば、一緒にまわろうって言ってくれてたっけ…。久世玲人のせいで、断っちゃったけど。


「ご、ごめんね…」

「いやいや、じゃあまた今度一緒に遊ぼうよ」

「うん、ありがとう」


やはり佐山君は優しいなぁ。私にまで気を遣ってくれて、感心ものだよ。

社交辞令で誘ってくれる佐山君に笑顔で返していると、後ろの方から、もの凄く不穏な空気を感じた。

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