いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
「ねぇ玲人~!何で土曜日ムシするのぉ!?」

猫なで声で近寄るサエコに、久世玲人の眉間のシワがより一層深まっている。

しかし、サエコはそんなことおかまいなしだ。


「せっかく偶然会ったのにー!1人だったなら一緒に遊んでくれてもよかったじゃん!」

「だから、連れがいるって言っただろ」

サエコは詰め寄るように、久世玲人は鬱陶しそうに、2人とも大きな声で喋るので、こちらまで丸聞こえだ。

しかも、会話の内容ですぐ分かったけど、あの時久世玲人とサエコは接触してたみたいだ…。

きっとサエコにしつこく誘われてたんだろう。


2人の様子を傍観していると、佐山君が小さな声で話し掛けてきた。


「2人の様子が気になる?」

「えっ!?いや!そういうわけじゃ…」

どうやら、私がサエコのことを気にしてると思われてるみたいだ。あぶないあぶない。

嫉妬してると思われるのも癪なので、2人から視線を外した。



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