いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
そのまま立ち去ろうとすると、彼らは私を囲むように近づいてきた。

まずい…。

「ねぇ、こんな所で何してんのー?」

相変わらず厭らしい笑みを浮かべたまま、彼らは私に話し掛けてくる。

それに答えず、小走りで横を通り過ぎようとすると、グループの中の1人がグッと肩を掴んできた。


「どこ行くの?」

「ねぇ、俺らと一緒に遊ぼうよ」


どうしよ…。やばい展開になってきた…。

俯いたまま青ざめていると、肩を掴んでいた男子が私の顔をひょいと覗いてきた。


「……あれ?」

一瞬だけ目が合うと、その男子が思い出したように呟いた。


「こいつ、久世の女じゃね?」

その言葉に、仲間の男子たちが「マジっ!?」と一斉に私の顔を確認し始めた。


どうしよ…。本当にどうしよう…。


原田菜都、久世玲人の彼女になって初めてリアルなピンチを迎えています。



ここで、「本当の彼女じゃありません」なんて言っても絶対逆効果だ。

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