いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
とにかくここから逃げようと猛ダッシュするけど、「逃がすかっ!」と彼らは追ってくる。

どうしよ…!!つかまったら最後!!私1人じゃどうすることもできない!!

意外と広い校舎裏、建物の中への入り口はまだ先にある。


誰かっ…!!助けてっ!!


こんな人気のない場所に誰もいるはずがないけど、この鬼気迫る状況で浮かんできたのは、久世玲人の顔。

さっきまで久世玲人から解放されると喜んでいたのに、なんて自分は調子いいんだろうか。


でも、もう久世玲人に助けを求めるしかないっ!!サエコと一緒だろうが、気遣ってる場合じゃない!!

ポケットからすぐさま携帯を取り出すと、ちょうど久世玲人から着信が入っているところだった。

なんてタイミングっ!!さすが久世玲人!!


急いで通話ボタンを押すと、『やっと出た…。どこにいんだよ!!』と何故かお怒りの声が響いてきた。

こっちは怒られてる場合じゃないんだってばっ!!

電話の向こうでまだ文句を言っている久世玲人の言葉を遮り、必死で助けを求めた。


「久世君っ!!どうしよっ…!!」

『は?』

「どうしよっ…!!」

『……どうした?』

息切れしながら、しかも、焦って尋常じゃない私の声に久世玲人も何かあったと察したようだ。


『……菜都、どこにいる』

低い声で問う久世玲人の言葉を聞いたところで、「待てっ!!」と腕を掴まれ、携帯を取り上げられた。


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