いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]

それは、突然。

「菜都、そこにいるなら目と耳、塞いどけ」

そんな久世玲人の言葉に、さらに居たたまれなくなった私は重い足をようやく動かし、その場を離れた。


ホントに大丈夫だろうか…。私のせいでこんなことになってしまって…。


指示された通り保健室に向かう途中も不安で、誰か呼んだり、先生に言った方がいいんじゃないか…、という考えが頭をよぎったけど、いつの間にか休憩時間なんてとっくに終わってたみたいで、廊下には誰もいない。


……でも、誰か呼んで、コトを大きくするのは得策じゃないかもしれない…。久世玲人なら、間違いなく一人で解決するだろう…。



結局、誰にも伝えないまま保健室に向かった。


「失礼します…」


保健室に入ると、白衣を着た40代のおばちゃん先生が驚いたような表情で私を凝視した。


「あらまぁ!どうしたの!?それ!?」

久世玲人のシャツを借りてるものの、下に着ている私の無残な制服が見えていたみたいだ。

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