いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
「いや、あの、ちょっと引っ掛けちゃったら、ボタンも全部取れちゃって…」

苦し紛れの言い訳だと思ったけど、先生は「まぁまぁ!大変だったわねぇ!」とそれを素直に信じている様子だった。


「予備の制服あるから、とりあえずそれ着て!」

そう言って先生は引き出しから夏用の制服を取り出し、私に渡してきた。


「引っ掛けたとき、ケガはしなかった?」

「はい、大丈夫です…」

「なら良かったわ。じゃあ、今日一日はその制服貸してあげるから、明日また返却に来てね」

「ありがとうございます」

深々とお辞儀をすると、先生はにっこりと微笑んで机の周りを片付け始めた。


「じゃあ、先生これから出ないといけないから。ゆっくり着替えなさいね」

「え?鍵とかどうすれば…」

「着替え終わったら、他の先生に声かけてくれればいいから」

「はぁ…」

「なんなら、サボって寝ちゃってもいいわよ」

「え!?」

先生らしからぬ発言にビックリしていると、先生は、ふふっと悪戯な笑顔を見せながら「じゃあね」と保健室を出て行った。

< 232 / 446 >

この作品をシェア

pagetop