いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
え、と…今、何が起きてるっ!?

この状況にパニックになっていると、久世玲人の声が頭上から響いてきた。


「菜都、……大丈夫か?」

その声はとても不安げで、心配そうで、私のことを気にかけてくれていることがよく分かる。


だ、大丈夫だけど…この状況は全然大丈夫じゃない!!


動揺しすぎて相変わらず何も答えられないでいると、再び「菜都…」と切なげな声が聞こえてきた。


「だだだ大丈夫だからっ、…離してっ!」

その声に頭も覚醒し、慌てて腕を突っ張りこの拘束から逃れようとすると、久世玲人は少々納得いかなそうな顔になった。


「わ、私のことはいいからさ!久世君ケガはない!?」

焦りながら問いかけるけど、久世玲人はそれに答えず不服そうに返してくる。


「俺より、菜都は…」

「久世君!!少しケガしてるじゃん!!」

そんな久世玲人の言葉を遮り、顔や手を確認すると、所々に少し傷がある。


きっと、さっき傷付けたものだろう…。


顔を曇らす私に、久世玲人は苦笑しながら言う。


「これくらい、どうってことない」

「でも、私のせいで巻き込んじゃって…。ほんとにごめんなさい…」

「菜都のせいじゃない。……俺のせいだから」

俯いて謝る私の頭を軽く撫でながら、久世玲人も硬い声になっていた。


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