いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
座ったまま私を見上げてくる久世玲人は、本当に心配で仕方ないといった感じだ。


「本当よ?大丈夫だから」


そうもう一度と微笑みかけると、掴まれている手の力がグッと強くなった。


「……あいつらに、何かされた?」

「う、ううん…。その前に、久世君が助けてくれたから…」

「本当に?何もされてないか?」

たぶん、久世玲人が一番気にしてくれているのはここだろう。

私が「女の子」だから。


でも、あの時は胸元がはだけただけで、幸い、何もされていない。本当に、される寸前で助けてくれたのだ。


安心させるために、「本当に、何もされてないから」と笑って返すと、久世玲人は少し安堵したように息を吐き、私の手を引いた。



それはとても自然で、私の体はゆっくりと引き寄せられ…。


久世玲人は立ったままでいる私の腰に腕を回し、またもやギュッと抱き締めてきた。


「やっ…!!何っ…!?」

ビックリして声を上げるけど、久世玲人の腕は腰に絡まれたまま離れない。


私のお腹あたりにちょうど久世玲人の頭がある状態で、ピタリとくっついている。


何!?

何で!?

ちょっとっ!!どうしよっ!!何なのコレ!!

持っていた消毒液とコットンを床に落とし、そのままフリーズ状態になってしまった。

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