いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
「ひぁあっ!!見ないでーっ!!来ないでーっ!!」

「オラッ菜都っ!出てこいっ!!」

「やだぁっ!!」

必死に隠れようとする私と、フトンを剥がそうとする久世玲人、2人でせめぎ合いを繰り広げていると、横にいる智樹が私をたしなめてきた。


「姉ちゃん!玲君さっきまでずっとそばにいてくれたのに、お礼くらい言いなよ!」

「智樹っ…!!」


小学生に注意されるなんて情けないが、カチンとくる。

アンタはさっき何が起こったか知らないから、そんなことが言えるのよっ!!

姉ちゃんがどんな目にあったかっ!!


何も知らない智樹に罪はないけれど、睨まずにはいられない。

フトンの隙間から、智樹にギロッ!!と視線を向けた。

アンタは余計なこと言うんじゃない!!という念を込めて。


そんな思いが伝わったのかどうかは分からないけど、智樹は小さく呆れたような息を吐き、「姉ちゃん元気なら、俺もう遊びに行くから」と部屋を出て行こうとした。



え!?

智樹、出かけるの!?



そうなると、残されるのは2人…。

チラリと久世玲人に視線を向けた。


そ、それはそれで気まずい…!!

久世玲人とまともに顔を合わせられないっ!!


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