いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
「じゃあね玲くん!姉ちゃん訳分かんないけど、よろしくね!」

「ちょっ…!!ま、待って智樹…!」


咄嗟にフトンから顔を出して智樹を引きとめようとしたけど、そんな私の願いも虚しく、部屋のドアはパタンと閉まった。


ひぃーっ!!

智樹、行かないでよーっ!!


涙目でドアを見つめていたその隙にバサッ!とフトンを奪われ、姿を現した私に久世玲人がニヤリと不敵に笑った。


「ようやく出てきたな」

「ちょっ…ま、待っ…!!やっ…!!」

涙目のまま、真っ赤な顔であわあわとパニックになっていると、久世玲人はベッドの端に腰掛けながら私の顔を覗き込んできた。


「大丈夫か?気ィ失ったけど」

「は……は…は…」

はい、とただ一言言いたいのに、焦りすぎて言葉が出てこない。


カーッとさらに顔を赤く染める私を見て、久世玲人はまたもやニヤリと笑った。


「思い出した?」

と言いながら、私の頬に手を添えそっと撫で始めた。


「キャァ!」

その行動にビックリして思わずピョンと飛び跳ねながら離れると、久世玲人は口角を上げながら不敵な笑みを見せている。


か、からかわれてるっ!!

もうやだっ!!泣くっ!!泣くっ!!

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