いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
なんとか久世玲人から距離をとろうとするけど、ベッドという狭い空間、それも大して意味がない。

逃げたところで、あっという間に掴まってしまうことも分かってる。


まるで、狼の前にいる子ウサギのようだ。


プルプルと震えながら涙目で久世玲人を見上げると、久世玲人の動きが一瞬止まった。

ほんの、一瞬だけど。


「……煽るな」

と、訳の分からないことを言いながら、私から視線を外している。



もう、ほんとにどうすればいいのか分からない。

動けないし、言葉も発せられない。

恐いし、恥ずかしいし、自分を保つことができない。


相変わらず震えが止まらないまま見上げていると、久世玲人は苦笑しながら私に手を伸ばしてきた。


「そんな顔見せるな。襲うぞ」


そんな物騒な台詞を吐きながら、座ったまま私を抱き締めてきた。


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