いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
今、久世玲人が私に何をしたのかが、ハッキリと分かった。

キスを、された。……首だけど。

思考はシャットダウンしてないし、ましてや気を失ってもいない。私の頭も、この数々の怒涛の展開に慣れたのだろうか。

いっそのこと、また倒れた方が良かったかもしれない。必然的にこの場を強制終了できるから。


今のこの状況に驚愕しながら固まっていると、久世玲人は腕を緩めて体を離した。


「もう…帰る。このままいると、たぶん抑えらんねえわ」


そう言いながらベッドから立ち上がり、私の頭をクシャッと撫でた。


「じゃあな。今日はもう大人しく寝てろよ」

「…うん」

言われなくても、とぼそっと言い返しながら、部屋を出て行こうとする久世玲人の背中を見つめた。


またもや凄いことが起こったけど…

なんで、久世玲人はそんなに普通でいられるんだろうか…。抱擁やキスなんて、なんでもないことなんだろうか…。


……慣れてるのかな?


そう思った瞬間、モヤモヤとした何とも言えない感情が胸に広がるのを感じた。

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