いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
そして、その日の夜。


当然だけど、久世玲人のことが頭から離れない…。保健室でのことや、さっきのことも…。

お昼休憩に襲われかけたことも薄れるくらい、久世玲人の言動の方が衝撃だった。


抱き締められたりキスをされたり以外に、色々とすごいことも、言われた…。

私に近付く奴はイラつく、とか、他の男のことは考えるな、とか…。


まるで、本当の彼氏かのような言動。


どうして…。なんで…。私はいつわりの関係でしかないじゃない…。なんであんなこと…。


思い出すと、体が小さく震える。

それは、恐怖からではなく、何だか分からない感情で。

心が疼く。

久世玲人の感触を思い出すと、ゾクゾクとした何かが背中を走る。寒気といった類のものではない。


私を襲おうとした連中には、触れられるだけで嫌悪感が走ったというのに、久世玲人に抱き締められた時は、……嫌じゃなかった。

なんで私、嫌じゃなかったの…?


分からない…。

分からない…。


分からないけど……これ以上、考えちゃいけない気がする。


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