いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
やめた…。

考えるのは、もうやめよう。


さっさとお風呂に入って、今日の疲労を払拭して、寝てしまおう。


久世玲人のことは無理やり考えないようにして、脱衣所に向かった。


途中、智樹が「姉ちゃん変だよ。大丈夫?」と聞いてきたけど、「うん…」としか答えられなかった。

いつもなら、失礼ね、とか言い返すのに。

久世玲人が帰ってから、ずっと、ぼうっとしたまま。両親にも心配されたくらいだ。



ノロノロとした動作で服を脱ぎ、お風呂場にある鏡をふと目にしたとき、気付いた。

首筋が一ヶ所、紅く色付いている。


あれ…なにこれ…?虫刺され…?

いつ刺されたっけ?と少し考えた時、あ、と思い出した。


保健室で抱き締められてキスされた時、首筋が一ヶ所チクッと痛かった……。


てことは……てことは……


ボボボッと顔が一気に赤くなった。


こ、これって所謂…キ、キスマークってやつじゃっ…!!


その瞬間、お風呂場で私の大絶叫が響いたのは言うまでもない。


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