いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
どうしよ…緊張する…。

隣を歩く久世玲人をチラチラと盗み見た。

ドキドキして、胸が騒がしい…。どうしちゃったの、私…。


落ち着かない…。


そわそわしている私をよそに、久世玲人は眠そうにアクビをしたり、コキコキと首を鳴らしたり。

いたって、フツーに見える。

……いや、むしろダルそうに見えるのは気のせいだろうか…?


「あ、あの…久世君?もしかして、ダルい?」

「あ?……いや、久しぶりに早く起きたから、頭が働かねえ」

そう言って、もう一度ふわぁっとアクビをした。


「あの、…いいよ?毎日迎えに来てもらわなくても…。朝から絡まれないだろうし、たぶん、大丈夫だと思うよ」

わざわざ早起きして迎えにきてくれるなんて、忍びない。

私の心がもたないってのもあるけど、久世玲人のためを思ってそう提案すると、なぜかその顔は不機嫌そうに歪む。


「迎えに来るって言ってんだろ」

「そ、そうだけど…」


そんな眠そうにされちゃ誰でも遠慮するって…。


「でもやっぱり…」と言いかけたところで、久世玲人からギロリと鋭い視線を向けられ、これ以上は反抗すべきじゃないとすごすご引き下がった。


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