いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
それにしても、朝からすごく視線を感じる…。

2人でこうして歩いていると、周囲からチラチラと遠慮ない視線をぶつけられる。


学校でも、2人で街に出かけた時も、それはそれは幾度となく浴びてきたけど…。


今日は、その視線がすごく気になる。


久世玲人は、一般的にみてもかなり整った容姿をしている。黙ってれば怒ってるかのように見えるけど、その顔はとても端整で人目を引く。

時折、柄の悪そうな男たちからも、因縁をつけられているかのような敵意ある視線を向けられるけど…まぁ、それは別として。


やっぱり、モテるんだろうな…。


見た目は恐いけど、意外と優しいし…。

今だって、久世玲人は何も言わないけど、私の遅い歩調に合わせて歩いてくれている。

慣れない優しさに頬を染めながら、隣を歩く久世玲人を見上げた。


……相変わらず眠そうだけど、逆にそれが色気があるようにも見える。


そりゃ、女の子が放っておくわけないよね…。

久世玲人と仲良くなりたいと、憧れている女の子だっていっぱいいる。


恐いから、面と向かって堂々と言うのはサエコくらいだけど…。




………あ。

そういえば、サエコで昨日のことを思い出した。

いろんなことが起こりすぎたせいで、すっかり忘れてたけど…。


久世玲人がサエコの手を引いて、教室から出て行った光景がよみがえる。


あのあと…。


サエコと2人で一緒に教室から出て行ったあと、どうなったんだろうか。


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