いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
授業が始まっても引き続き重い空気のままで、いつになく声がかけづらい状況だ。

こうまでくると、何故そこまで佐山君は機嫌が悪いのか不思議に思えてくるほど。


確かに、あの時私は意識を飛ばしていたとはいえ、端から見たらイチャついているようにしか見えなかっただろう。

軽率な行動に見えてもおかしくない。反省して然るべきだ。


でも、佐山君がここまで不機嫌になる理由は…?


使えない脳ミソで、一生懸命考えた。






………あ、そうか…。


佐山君は、久世玲人のことが嫌いだったはず。いつも、久世玲人に対して敵意があるような、そんな態度だった。


学校の風紀を乱す久世玲人、その彼女である私もいよいよ許せなくなってきてるんだ…。


そうか…。


これで納得がいく…。


心の隅に追いやったとはいえ、憧れていた人に嫌われるとは…、なんというか…複雑な心境だ…。



隣の席に聞こえないように、小さく息を吐きながら、終了のチャイムが鳴るのを待っていた。
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