いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
「えーと、佐山君?あの、話って…?」

「ああ、うん。……それでね?ある時、その印象が少し変わったんだ」

「変わった…?」

第一印象の話、まだ続くんだ…。

もう佐山君の言いたい事を聞くしかない、そう思って耳を傾けると、佐山君は懐かしそうに思い出しながら私に話し始めた。


「高1の秋だったかな…。委員会が長引いて、夕方遅い時間に教室に戻った時があるんだ」

「うん…」

「誰もいないはずの教室には、まだ人が残っててさ、それが原田さんと、えーと…確か松田さん」

「ああ、春奈ね」

早く帰ればいいのに、お喋りが盛り上がって、放課後もよく2人で残って喋ってたっけ。

その時の光景を思い出しながら、佐山君の話の続きを聞いた。


「その時は、ああ、まだ人がいたんだ、って思った程度でさして気にせず教室入ったんだけど、俺が入っても2人は気付かずまだ喋っててさ」

「そ、そう…」

少し、恥ずかしい…。一体、私たちは何を喋ってたんだろ…。変なこと言ってなけりゃいいけど…。

そんな私の心情に気付いた佐山君は、「あ、別に会話の内容まで聞いてないよ?」とフォローを入れてくれた。



「それよりも…」

そう言って佐山君は私に向き直り、少し真剣な表情になった。


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