いつわり彼氏は最強ヤンキー［完］

魔性の女

どうすればいいの……

私の周りの環境が、めまぐるしく変化している。想像の範疇を越えた変化に、私の心と頭がついていけない。


あれからすぐ休憩時間が終わるチャイムが鳴り、それに助けられた私は逃げるように屋上から去った。


しかし、教室に戻ってもそこには佐山君がいて、瞬時に告白された事実を思い出す。結局ここでもどうすればいいのか分からないままで、まともに佐山君の顔も見れない。


そんな私の様子に佐山君も遠慮すればいいものを、楽しそうに話し掛けてくる。


「原田さん、今すごく困ってるでしょ？」

「えっ!?だ、だって…」

「あはは、分かりやすいなぁ。でもその調子。もっと僕を意識してもらわなきゃ」

「さ、佐山くんっ!?」

「もう遠慮しないからね」

「うっ……」


再び、カーッと顔が赤くなってしまう。


佐山君……。

こんな人だっけ…？ちょっとイジワルになってるのは気のせい…？

そんなに直球で言われたら、なんて返せばいいのか分からないよ…。


困り顔で佐山君をチラッと見上げると、佐山君の動きが止まり、「……原田さん」と少し硬い声が返ってきた。

心なしか、その顔は少し赤くなっている。


「分かってる？自分が今、脅威的に可愛い顔してるの」

「………へ？」

「あはは、やっぱり分かってないんだ」


佐山君、何を言ってんの……？

とぼけた顔で佐山君を見つめていると、もう一度おかしそうに笑われた。


「かわいいなぁ。一人占めしてる久世がムカつく」

「佐山君っ!?な、何言ってんの…!?」

「ますます奪いたくなるよ」


ここが教室だということも忘れてしまうほど佐山君に熱い視線を向けられ、思わず逃げ出したくなってしまった。