いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
「今、魔性の女って聞こえた気が…」

「ああ、言った」

「ちょっとっ!!何でそんなこと…!!」

そんな似つかわしくない呼び名、初めてだっ…!!

思わず近づきながら詰め寄ると、泰造はそのでかい体を起こしながらニヤリと不敵に笑った。


「……好きなんだ、原田さんのことが」

「えっ…!?な、何っ…!?」

急に何っ!?何言ってるのっ!?第三の男っ!?

あわあわと焦るところだったけど、泰造は相変わらずニヤニヤとしたまま。


ハッ!!


ま、まさか…!!


「き、聞いてたのっ!?」

「ご名答」

「うそっ!?だって、視聴覚室には誰もいなかったはず…!!」

「残念。俺、前の方で寝てたから」

「うそでしょっ!?」

じゃあ、あの告白の一部始終を聞かれてたってこと!?


なんてことだっ…!!

頭を抱えたい気分に陥っていると、泰造は続けて喋る。

「熱い告白が始まって鬱陶しいと思ったら、相手はなっちゃんだろ?笑いこらえるの必死だったわ」

「笑いって…!!」

「お前モテんだな。やるじゃねえか」

「……なんか、褒められた気がしない」

「まぁまぁ」


口が悪い泰造のペースに持っていかれそうだ。

むっとしながら泰造を見ると、再びニヤリと余裕の笑みを返された。
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