いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
『ま、自分の気持ちに素直になって、ちゃんと考えな?』

「う、うん…」

そう言って春奈との電話を切り、再びベッドに倒れこんだ。



素直になって、か…。


はあー…、と大きく息を吐いて、ゆっくりと目を閉じた。


思い浮かべるのは、久世玲人と、佐山君。タイプの違う二人の男。

……私はどうするべきなんだろう。


私の望む、穏やかで平和な日々を思えば、佐山君を選ぶべきだと分かっている。選ぶ、なんておこがましいけど…。

佐山君となら、ほのぼのと、平穏で微笑ましい毎日が送れると安易に想像できる。



それに比べ、久世玲人は…。

いつも強引で、私の意見なんてお構いなしで…。不良だし、恐いし、喧嘩もたくさんしてそうだし……。

決して、平穏に過ごせるなんて言えない。

それに最近は、……すぐ抱き締めるし、キスするし…。言動が激しい…。


思い出すと、ボボッ!と顔が赤くなる。


さっきのことも…。

嫉妬と支配欲が垣間見える久世玲人の言動を思い出すと、胸がドキドキと騒ぎ始める。

怒られていたというのに、それどころじゃなかった。



……久世玲人は、私のこと、どう思ってるんだろう。

佐山君の問いに久世玲人は答えなかったけど、その答えが気になって仕方ない。


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