いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]

彼の優しさ

それから、何日か経過した。

相変わらず久世玲人の送り迎えは続き、特に目立った事件も起こっていないが、私は、あることを感じていた。


――――自分の体が、おかしい。


そう感じ始めたのは、最近かもしれない。

特に、久世玲人と一緒にいるとその兆候は顕著で…。


ざわざわと痺れるような感覚に陥り、時折胸がきゅうっと掴まれたように痛い。さらに、触れられてしまうと、とろけてしまいそうになるほど、熱くなってしまう。

これまでも、久世玲人には色々とドキドキさせられたけど、比じゃないくらい体内が騒がしい。


まるで、自分が自分じゃなくなっていくようで、……こわい。


これは……ビョーキ?


自分の変化がこわくて、不安で、居ても立ってもいられず春奈に相談したけれど、あっさりと「恋でしょ」と返されたので、即効で否定した。


私も、17年生きてきたんだ。恋くらい、したことある。


私が知っている恋は、もっと穏やかで、心がほわほわして、あたたかい気持ちにさせてくれるものだ。

こんなにも苦しいものではなく、体内はおかしくならない。


よって、これは恋ではない。


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