いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
なんだか、まともに授業を受ける気にもなれない…。

「ちょっと…保健室…」

誰に告げるわけでもなく、小さく呟きながら椅子から立ち上がると、何故だか佐山君も一緒に立ち上がった。


「原田さん、付き添うよ」

「い、いや、大丈夫…、ほんとに、大丈夫だから…」

体調が悪いわけでもない。頭と心が整理できない私の問題だ。

こんなことまで、佐山君に迷惑をかけられない。


親切な申し出を断っていると、佐山君は厳しい顔つきのまま、「いいから」と私の手を掴み、歩き始めた。


「え…ちょっと…佐山君…!?」


その光景はクラスメイトも皆驚いたようで、再びざわざわとどよめき始める。


「え?あの2人って何…?」

「もしかして、佐山って原田のこと…」


そんな疑念の声が次々と上がり、私は焦りながら必死に佐山君の手を振りほどこうとした。

しかし、思いのほか強く握られたそれは、なかなか離れない。


「あ、あの…佐山君!み、みんなが見てる…!」

「放っておけばいいよ」

「で、でも!」

「どう思われても構わない」


でも、私が困る…!


しかし、佐山君は皆の声を無視しながら歩み進める。


結局、いつになく強引な佐山君に引き連れられ、みんなの注目を浴びたまま保健室へと向かう羽目になった。

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