いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
Last Step

迷える乙女心

「どしたの、それ」

「……いろいろありまして」


久世玲人の家で衝撃的な時間を過ごした、その翌日。

登校してすぐ、貴重な相談役である春奈のもとへ向かうと、開口一番驚かれた。

私も、朝、鏡を見て驚いた。昨夜から予想はしていたけど。


あまり見られたくなくて、泰造と陽が迎えに来る前、早朝に家を出たくらいだ。


「あーあ、ひどい顔ね。こりゃ化粧でも隠せないわ」

「………」


泣きすぎた結果が、これ。

目はひどい充血。腫れているまぶたを、春奈が、つん、とつついてきた。




「何があったのよ。誰に泣かされたの?久世君?」

すぐにズバリと言い当てた春奈に、こくん、と頷いた。


泣かされたというか、私が勝手に泣いただけだ。でも、久世玲人が原因である。


昨日、あのあと、ぐすぐすと泣き続けた私は疲れ果ててしまったのか、いつの間にか久世玲人の腕の中で寝てしまった。

久世玲人も、私を抱き締めたまま寝てしまっていて。

目が覚めた頃には夕方で、健司もとっくに帰っていた。


このまま何事もなく帰っていれば、翌日までこうして影響しなかっただろうに、起きた途端、久世玲人はまたキスをし始めて。

そしてまた、ぐすぐす泣いて。


家に帰っても、思い出したらまた泣けてきて。

涙腺がバカになったのか、散々泣いてしまったのだ。


なんであんなに泣いたのか、今になってみればよく分からない。

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