いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
「きゃあ!」

ビックリして思わず声をあげて振り返ると、そこには、泰造と陽がいた。

心なしか、顔がニヤついている。


な、なんだろ…。

あ、そういえば。久世玲人の代わりにたぶん今日も迎えに来てくれただろうけど、勝手に行ったこと謝らなきゃ。


「あの、今朝はごめんなさい…。先に行っちゃって…」

「いやいや、それはいいんだよ。なっちゃん」

そう軽く流しながら、二人はにやにやと笑い、私を囲うように距離をつめてきた。


な、なにっ…!?

イヤな予感がして警戒していると、泰造が耳打ちしてきた。


「健司に聞いた。昨日、玲人に襲われたんだって?」

「なっ…!!」

なんでそんなことっ…!!

ていうか健司っ!!早速喋るなんてっ!!なんでも筒抜けじゃないっ!!

怒りと羞恥で顔を真っ赤に染めていると、今度は陽も耳打ちしてきた。


「泣くほどよかったの?そんなに目腫らして」

「なっ!!ち、違うわよっ!!」

「まーまー。別に隠さなくても。もう見られたんだし」

「だから、違うって言ってるでしょっ!!」

違う、と言ったところで、2人が信じるはずもなく。相変わらずにやついたまま。


「別にいいじゃねえか。玲人とヤッたくらい素直に認めても」


やっ…!?な、何言ってんのっ!?

「おめでとー。なっちゃん」

「ちょっ…!!勝手に話しを進めないでよっ!!」

「え?」

「やってないってば!!!!」

「えー?」

「一切!!何もっ!!やってないっ!!」


力いっぱい声を張り上げて否定した。

ていうか、なんで、私はこんなことを弁明しないといけないんだろう…。

乙女心はズタズタだ。

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