いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
文化祭
それから、約一ヶ月が過ぎていった。
久世玲人の謹慎もとけ、いつもの日常が戻ってきた。
噂が誇大してたぶん、どうなることやら、とみんなの反応を懸念していたけど、学校中が慌しい今、誰も停学のことに触れてこない。
というのも、今週末は我が校の文化祭だからだ。その準備のせいで、皆、久世玲人どころじゃないらしい。
タイミングがよかったんだろうか…。
私としては文化祭どころではないけど…。
久世玲人が好きだと自覚してから、大変でしょうがない。体がおかしくなっていくあの症状は加速する一方で、一緒にいるだけで動悸が激しくなる。
あれはやはり恋のせいだったのだと、今さらながら気付いた。
はぁ…どうしよう…
この一ヶ月、私たちの関係に変化はない。どうにかしなきゃ、と思うけど、踏み出す勇気がない。
いつわりの関係でも、崩れてしまうのが恐いのかもしれない。
「ねえ、原田さん」
「はいっ!?」
放課後、掃除を済ませて教室で一人もの思いにふけっていたら、クラスの文化祭実行委員に声をかけられた。
「あの…、久世君ってどこ?」
「え!?どうして!?」
「ほら、停学だったから役割がふられてないけど、せっかくなら少しでも文化祭に参加してもらえたらなーと思って」
役割というのは、出し物の役割分担のことだ。うちのクラスはカフェをする予定で、クラスの皆にそれぞれ役割がふられている。
私は、文化祭当日に飲み物を準備する係だ。裏方的な仕事でとてもありがたい。
「声、かけてみようか?」
「うん。来てくれるなら、ぜひ」
文化祭、手伝うだろうか…。……しないだろうなぁ。
この子もたぶん期待していないだろう。実行委員という立場上、声かけてきたんだと思う。そんな口ぶりだ。
それでもまぁ、念のため聞いてみようと、屋上で待っているであろう久世玲人のもとへ向かった。
久世玲人の謹慎もとけ、いつもの日常が戻ってきた。
噂が誇大してたぶん、どうなることやら、とみんなの反応を懸念していたけど、学校中が慌しい今、誰も停学のことに触れてこない。
というのも、今週末は我が校の文化祭だからだ。その準備のせいで、皆、久世玲人どころじゃないらしい。
タイミングがよかったんだろうか…。
私としては文化祭どころではないけど…。
久世玲人が好きだと自覚してから、大変でしょうがない。体がおかしくなっていくあの症状は加速する一方で、一緒にいるだけで動悸が激しくなる。
あれはやはり恋のせいだったのだと、今さらながら気付いた。
はぁ…どうしよう…
この一ヶ月、私たちの関係に変化はない。どうにかしなきゃ、と思うけど、踏み出す勇気がない。
いつわりの関係でも、崩れてしまうのが恐いのかもしれない。
「ねえ、原田さん」
「はいっ!?」
放課後、掃除を済ませて教室で一人もの思いにふけっていたら、クラスの文化祭実行委員に声をかけられた。
「あの…、久世君ってどこ?」
「え!?どうして!?」
「ほら、停学だったから役割がふられてないけど、せっかくなら少しでも文化祭に参加してもらえたらなーと思って」
役割というのは、出し物の役割分担のことだ。うちのクラスはカフェをする予定で、クラスの皆にそれぞれ役割がふられている。
私は、文化祭当日に飲み物を準備する係だ。裏方的な仕事でとてもありがたい。
「声、かけてみようか?」
「うん。来てくれるなら、ぜひ」
文化祭、手伝うだろうか…。……しないだろうなぁ。
この子もたぶん期待していないだろう。実行委員という立場上、声かけてきたんだと思う。そんな口ぶりだ。
それでもまぁ、念のため聞いてみようと、屋上で待っているであろう久世玲人のもとへ向かった。