いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
そして、いよいよむかえた文化祭当日――――


「ムリムリムリっっ!!」

「お願いっ!!原田さんしかいないのっ!!」

「絶対ムリッ!!」


カフェの開店直前。飲み物の在庫確認をしていた私は、文化祭実行委員とクラスの女子に呼び出された。

神妙な面持ちで何事かと思えば。

なんと、接客係…つまりウェイトレスを務めるはずだった子が病欠したらしく、その代役として私に白羽の矢が立ったのだ。

ただのウェイトレスなら、私もここまで抵抗しない。

私がかたくなに抵抗している理由、それは――――…


「私あんなの着れないよっ…!!」

「原田さんなら絶対似合うから!」

「そんなわけっ…!!」

「これが着れるのはもう原田さんしか残ってないの!」

「何で私!?代役なら他にもたくさん…」

「似合う人じゃないと意味がないの!原田さんなら可愛いし、足も細いし、色も白いし」

「そんな見え透いたウソっ…」

こんな時におだてられて、素直に嬉しがるはずがない。


何で私なのっ…!?いやがらせ…!?

みんなやりたくないから、私に押し付けてきてるんだっ!!

被害妄想まっしぐらのなか、掲げられているウェイトレスの衣装に目をやった。

超ミニのフレアスカートに、レースがたっぷり施されたふりふりのエプロン。おまけに白いニーハイソックス付き。

ウェイトレスというより、もはやメイド衣装だ。


………絶対着れない。


「やっぱりムリっ!!」

「お願い!!これはクラスのみんなからのお願いなの!!」

「早くしてくれないとカフェが開店できない!!みんな待ってるの!!」

「お昼まででいいから!!せめて忙しい時間帯だけでも協力して!!カフェが回らなくなっちゃう!!」


だから、何で私がっ!!

そう強く抵抗したところで、一対十数人相手じゃ勝てるはずもなく…。

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