いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
結局、忙しくなるお昼の時間帯だけということで、引き受ける羽目になった。

ううっ…

どんなにイヤでも、抵抗しきれない自分の性格に泣けてくる。悲惨な文化祭だ。

泣く泣く衣装に着替え、鏡で自分の姿を眺めた。


み、短い…。足がスースーする…

こんな格好で出たくないよ…生き地獄だ…

ここに久世玲人がいなくて、ほんとによかった…。こんな場面を見られたら、何て思われるだろう…。

今ごろ、屋上で寝ていてくれてよかった。


早くもうなだれながら着替えスペースからとぼとぼ出ると、クラスの皆から一斉に注目が集まった。

男子からは「おぉ…」と感嘆の声があがり、女子からは「かわいい~!」と甲高い声があがっている。

「原田さん超似合う~!」

「笑って笑って!」


……笑えない。

ああ…ほんとにイヤだ…帰りたい…

これは何かの罰ゲームなんだろうか…


「じゃあ、早速オーダーとってきて!」

「え!もうっ!?」

「うん、少しずつお客さんも増え始めてるから!はい、これメニュー表!行ってらっしゃい!」

「ちょっ…!」


恥ずかしがって、ためらってる時間などないらしい。


「早く早く!」

背中を押され、ホールと化してる教室へと送り込まれた。

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