いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
恐る恐る振り返ると、そこにいたのはもちろん…

「く、久世君っ…!!」

な、なんでここにっ!!

バッと時計を見ると、その針はすでにお昼を過ぎていた。

そういえば、迎えに来るって言われてたっけ…!!仕事は午前中だけだと伝えていたし…

ひぃっ…こんな格好見られるなんてっ!!


咄嗟にバッとスカートを押さえるけど、全く意味はなさず…。

恥ずかしさやら情けなさやら、気まずい思いでいると、久世玲人は私を引き寄せながら男たちを鋭い眼光で睨み付けた。


「――――誰に、声かけてる」

その恐ろしい視線と低い声色に、男たちもビビっている。ついでに、周りにいる無関係のお客さんもビビっている。

……ついでに、私も。

この雰囲気は、もの凄く怒っている感じがする…。


「久世って…もしかして、久世玲人っ!?」

「マジっ!?あの久世っ!?」

「え…てことは、この女が久世の女っ!?……マジかよっ!!」

しばらく固まっていた男たちだけど、久世玲人だと気付いた途端、血相を変えて慌てている。

他校でも有名だという噂は事実みたいだ…。


「ヤベッ!帰るぞっ!!」

「俺たち何もしてませんからっ!!」

久世玲人に言い訳しながら男たちは一斉に席を立ち、逃げるように教室を去っている。

その弱腰な逃げっぷりは、思わず私もポカンと見てしまうほど。


どんだけなんだ……久世玲人って。

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