いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
「あのねっ…佐山君には、本当に、感謝してるっていうかっ…。気さくに話しかけてくれるし、困ったときはいつも助けてくれて…心配してくれてっ…。本当に、何度お礼を言っても、言い足りないくらい…」

「……うん」

「それに、こんな私のことを、す、好きって、言ってくれて…。本当に、嬉しかった…」

「うん」

たどたどしい私の言葉を、佐山君は口を挟まずちゃんと聞いてくれる。その様子に私も少しずつ落ち着いて喋ることができた。

佐山君に伝えたかったこと、言わなきゃいけないことが、一つ一つ言葉となってくる。


「あの時、……一度、佐山君の告白に答えようとして、でも、突っぱねられた時…、本当に、ちゃんと考えようと思ってたの…」

「うん」

「佐山君とだったら、毎日楽しくて、穏やかで、平和に過ごせるって…、そんな風に考えたこともある…」

「……うん」

「気付いてたと思うけど…、久世君とはお互い好きで付き合ったわけじゃなくて…。最初は、すごく困惑したし、恐かったし、強引だったし…、今でも何を考えてるか分かんないし…」

「…………」

「でもっ…でも、やっぱり、……私の心に入ってくるのは久世君でっ…」

「…………」

「いつの間にか、久世君に占められててっ…」

「…………」


「佐山君っ…、私っ、……久世君がっ、好きなの…」


「………うん」

「だからっ、……本当に、…ごめんなさい……、私、…佐山君の想いに応えることはできないっ…」


胸がつまる。声を出すのもやっとで、辛い。


恋って、こんなにも苦しくて、痛くて、……悲しいものだったんだ――…


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