いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
1人で家に帰り、腑抜けた状態のままベッドに倒れこんだ。

あれから、文化祭がどう終幕したのか覚えていない。片付けも、ちゃんとできたのかどうかも分からない。

クラスの子たちとも、何を喋ったか覚えていない。

ただ、久世玲人のことだけが頭から離れなかった。



目を瞑ると、思い出すのは、久世玲人の目。私を冷たく見下ろす、あの冷たい目。

ぞくり、と体が震える。


何が起こったんだろう…

何をあんなに怒らせたんだろう…


やっぱり、嘘を付いたのがバレたから…?


もしかしたら、本当に佐山君とのことを知っていたとか…?見られていた…?

いや、まさか…


でも、もしそうだとしたら、久世玲人があんなに怒る理由…

私を突き放すようなあの目。

あのキスの理由は―――…




考えようとしても、今の私の頭は役立たずで。

いろんなことがありすぎて疲れてしまっているのか、それとも、考えるのが恐いのか。

とにかく今は、早く眠りたかった。


朝起きたら、もしかしたら、何事もなかったように久世玲人が迎えに来ているかもしれない。

そうしたら、何があったの?って普通に聞けるかもしれない。



心のどこかでは、ない、って分かっていても。

そんな僅かな望みを抱えながら、私は深い眠りへと誘われていった。

< 395 / 446 >

この作品をシェア

pagetop