いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
出席日数、それを口実に連絡してみようか…。

いや、でもそんな連絡事項的なこと…

さらに、怒らせてしまう可能性がある。

でも、何がきっかけでもいいから、久世玲人との繋がりを保ちたい。

そう思って、いよいよ勇気を出して携帯を取り出したところで、廊下を歩いている健司の姿が目に入った。


………あ。

そうだ…健司なら何か知ってるかも…


「健司君!」

教室を出て、少し先に歩いてる健司に声をかけると、くるりとこちらに振り返ってくれた。


「なっちゃん?どうしたの?」

「あ、あの…久世君、最近どうしてる?」

「玲人?さあ、知らねーけど。俺より、なっちゃんの方が知ってんじゃないの?」


何かを隠している風でもなく、本当に知らない感じだ。


「玲人がどうかした?」

「いや、あの、…一週間も学校来てないから…」

「どうりで、最近連絡してもシカトされるわけだ」

「……シカト?」

「あ、もしかしてなっちゃんにも?まあでも気にしないで、よくあるから。あいつ、基本めんどくさい性格してるし。そのうち来るよ」

そういって健司は、まったく心配を見せる様子もなく、じゃあね~とヒラヒラ手を振りながら私の前から去って行った。



健司にもシカトをしているなんて、……私が連絡したところで、返してくれないに決まっている。

少しだけ湧いたちっぽけな勇気はあっけなく消え、握りしめていた携帯をポケットの中にしまった。

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