いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
嬉しいけど、恐い。
恐いけど、嬉しい。
そんな複雑な感情を抱えながら屋上に向かうと、いつもの場所で、フェンスに背を預けた久世玲人が座っていた。
緊張は、最高潮。
ドッドッドッ…と心音が自分でも聞こえるくらい。
騒ぐ心臓は治まる様子なく、変な汗を浮かべながらゆっくりと足を進めた。
久世玲人も私に気付き、立ち上がってこちらに向かってきている。
一週間ぶりに見る久世玲人は、やっぱりいつもと変わりなくて、その表情もいつもと変わりなくて、―――あの時の、冷たい目じゃない。
むしろ、穏やかで、……穏やかすぎて……
「よお」
「く、久世君…」
「悪かったな、呼び出して」
「い、今までどうしてたの…?ずっと学校来なくて…」
「……ああ、」
「出席日数とかも、危ないって…」
「……ああ」
「ずっと、心配で…、健司君に聞いても、知らないって言うし、…シカトされてるって言うし…」
「…………」
「ほんとに、ずっと心配で、……私が、何か怒らせちゃった…?考えたんだけど、分からなくて…」
「なぁ、菜都」
「どうして…、なんで…、あの時」
「菜都」
静かな声で、制された。
止まらない私の言葉を遮り、久世玲人は私を真っ直ぐ見つめてくる。
……だめだ…、涙が出そう…
おそらく、イヤな予感は当たっている…
これから続く言葉は、きっと―――…
「菜都、……解放してやる」
恐いけど、嬉しい。
そんな複雑な感情を抱えながら屋上に向かうと、いつもの場所で、フェンスに背を預けた久世玲人が座っていた。
緊張は、最高潮。
ドッドッドッ…と心音が自分でも聞こえるくらい。
騒ぐ心臓は治まる様子なく、変な汗を浮かべながらゆっくりと足を進めた。
久世玲人も私に気付き、立ち上がってこちらに向かってきている。
一週間ぶりに見る久世玲人は、やっぱりいつもと変わりなくて、その表情もいつもと変わりなくて、―――あの時の、冷たい目じゃない。
むしろ、穏やかで、……穏やかすぎて……
「よお」
「く、久世君…」
「悪かったな、呼び出して」
「い、今までどうしてたの…?ずっと学校来なくて…」
「……ああ、」
「出席日数とかも、危ないって…」
「……ああ」
「ずっと、心配で…、健司君に聞いても、知らないって言うし、…シカトされてるって言うし…」
「…………」
「ほんとに、ずっと心配で、……私が、何か怒らせちゃった…?考えたんだけど、分からなくて…」
「なぁ、菜都」
「どうして…、なんで…、あの時」
「菜都」
静かな声で、制された。
止まらない私の言葉を遮り、久世玲人は私を真っ直ぐ見つめてくる。
……だめだ…、涙が出そう…
おそらく、イヤな予感は当たっている…
これから続く言葉は、きっと―――…
「菜都、……解放してやる」