いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
「な、に…?なんの、こと…?」

分からないフリをしたけど、声が震えていた。久世玲人が言っている意味なんて、すぐに分かったから。

ガクガクと足が震えそうで、気を抜くとすぐにでも涙が零れ落ちそう。

だけど、久世玲人はどこまでも冷静に、穏やかに言葉を続けた。



「だから、“彼女”から解放してやる」

「………そ、それって、」

「ああ、今日で終わり。別れよう」


あっさりと簡単に言われ、まるで、私たちの関係の脆さを突きつけられたようだった。

一言で簡単に終わることができる、そんな関係。

始まりも終わりも、私の意思はそこにない。


「……なんでっ…?」

「もともと、俺が強制的に彼女に仕立てて、菜都がそれに合わせただけ。そうだろ?」

「なんでっ…」

「いい加減解放してやらねえと、と思って」

なんで今さらそんなこと言うのっ…

そんな理由で今さら解放なんて、そんなっ…


「なんで急にっ…?やっぱり、…あの時、文化祭の時、私が何か怒らせたからっ…?」

「そうじゃねえよ」

「じゃあ何でっ…?今さら、何でっ…?」


ついこの前まで、菜都は俺のって、俺から離れるなって…

あの言葉は何だったの…?

キスは、何だったの…?

ただの気まぐれ?

ただの、恋人ごっこだったの…?


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