いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
「会いに行くって……、学校で…教室でいつも会ってるし、」

「そうじゃなくて。俺が言いたいのは、一対一で会って欲しいってこと」

一対一…?

それは、久世玲人と2人きりってこと…?


「えっ…ちょ、ちょっと待って…、」

「何?」

「そ、それは、ムリ…かも…」

「ムリって、何で?」

「何でって…」


一見穏やかそうに見える健司だけど、そこはやはり久世玲人と同類。瞳の奥には、逃がさない、という強い意志が見え、迫力がある。

だけど、あまりにも無茶な話に、ムリだと首を横に振るしかできない。

用件は久世玲人のことだと思ったけど、いきなりそんなこと言われるとは。


そりゃ、……会いたい、とは思うけど…。でも、それは久世玲人が許さないだろう。


「もしかして、そんなにアイツのこと嫌いになった?」

「そ、そんなことないっ…」

理由を聞き出そうとする健司に、ふるふると首を振った。


「私も、話したいことはあるけど…、でも、できないの…」

「は?どういうこと?」


どういうことって聞かれても…。

こういうの…あんまり自分から言いたくないけど……、しかも、久世玲人の仲間である健司に…

でも、仕方ない…。


「健司君はどこまで聞いてるのか知らないけど…、解…別れたいって言ったのは久世君からだし…、それに、私には、もう関わらないって…」

「………え?アイツが、そんなこと言ったの?」

「う、うん…」

久世玲人から何も聞いていないのか、健司は私の言葉に目を丸くする。


そして、私に確認するように聞いてきた。


「えーと…、なっちゃんがフッたじゃないの?」


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