いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
「ふっ、ふったっ…!?私がっ!?」

「違うの!?なんだ、俺てっきりなっちゃんが愛想尽かしたのかと思った」


大きな勘違いをしている健司に、ぶんぶんと力強く首を振った。


「それは、違う…!!……私が、ふられたの」

情けなく否定すると、健司は眉を寄せながら大きなため息を一つ吐き、「…アイツ、超バカ」とめんどくさそうに言い放った。

そして、再度私に言い寄ってくる。


「なっちゃん、だったらなおさら玲人に会ってよ」

「なおさらって…何で…」

「知ってるだろ?アイツの性格。偉そうで、強情で、短気で、超めんどくさい」

「ま、まあ…」

「んで、勝手にコトを運ぶ。相手の都合は考えないで」

さすが親友、と言うべきだろうか。

「玲人が何を思って別れたのか知らないけど、おそらく勝手に自己完結してる。だから、……とにかくアイツに一回会ってやってくんない?」

「で、でも…」

そもそも、健司は私と久世玲人を会わせて、どうするの…。

困惑したままでいると、健司は一呼吸置いて真っ直ぐ私を見据えた。


「とにかく、会ってくれるだけでいい」

「……会って、どうするの…?」

「なっちゃんは何もしなくていいよ。たぶん、アイツが動くから」

「動く…?」

「そ。今は変な意地張って避けてるけど、なっちゃんを目の前にしたら、アイツたぶん抑えられないと思うから」

「抑えられないって……どういうこと…?」


健司が何を言いたいのか、話しの方向がいまだ見えない。

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