いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
私が鈍いのか、健司が突拍子もないことを言っているのか。

頭が混乱しかけていると、健司はまたおかしそうに笑う。

「だからね、玲人は、今でもなっちゃんに惚れてんだよ。もう、分かりやすいほど未練たらたら」

「えっ…なっ…!!」

「信じられないだろ?でも、これが大マジ」

かあぁっと顔が赤くなっていく。

そんな私の様子を見て、健司も「いい反応だね」とケラケラ笑う。


「ほ、惚れてるなんてっ!ど、どうしてそんなことっ!本人が言ったわけでも、……言われたこともないっ…」

今まで、すごく気になっていた。どうして、皆同じようなことを言うのか。

春奈も、佐山君も、そして、目の前にいる健司も。

私からすれば、何の根拠もないし、勘違いに過ぎないと思う。

現に、あっさりと別れを告げられているし。さらに、関わらないとまで。

だから、久世玲人が私を好きだと言うのが納得できない。

本人から一度も好きだと言われていないのが、その証拠だ。


「まー、最初は俺も信じてなかったよ?趣味が変わったとは思ったけど、遊びだろうって。玲人が本気になるなんてあり得ないって。でも、これがマジだった」

「だっ、だからっ、何でそんなこと…」

「玲人を見れば分かるよ」


……またこれだ。

見れば分かるって、やっぱり何の根拠もないじゃないか。

はあー、とため息を一つ吐きたくなったところで、健司が続けて言った。


「それに…。なっちゃん、玲人に襲われただろ?」

「――――っ!!」

な、何を突然っ!!


健司に見られたあの日のことを思い出し、顔が沸騰しそうな勢いだ。


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