いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
あわあわとテンパッている私に、健司はまたしてもケラケラ笑いながら続ける。

「思い出させてごめんね。でも、玲人が自分の家に女を入れるなんて、まずあり得ないことだった。ましてや、自分から迫ることも」

「なっ…なっ…」

何を言ってんだこの人はっ…!!

もう、恥ずかしすぎてプシューと頭から湯気が出てしまいそう。

とにかく、あれは早く忘れてほしい…!


「玲人って、昔から恋愛に冷めてるっていうか、興味がないっていうか。彼女作っても超テキトーですぐ別れるし」

「そ、そう…」

「でも、何故かなっちゃんには執着を見せる。ていうか、今までの女と態度が全然違うし。アイツ、なっちゃんには超優しいよ。あれでも」

「そ、そんなことはっ…」

「本当だって。それに、マジで大切にしてたし。なっちゃん相当鈍いから気付かないかもしれないけど、玲人の求愛は俺たちから見たらとても分かりやすい」

「きゅ、求愛って…!!」

恥ずかしすぎる台詞に、全身が真っ赤に染まりそうだ。

ぐるぐると健司の言葉が頭を駆け巡り、思考能力はキャパオーバーだ。


「まだ、信じられない?」

「えっ、」

「なっちゃんも、玲人のこと嫌いになったわけじゃないんだろ?だったら、もう一回玲人に会って確かめてみなよ。俺が言ったことは嘘じゃないから」

「ちょっ…ちょっと待って……」

そんな、いきなりそんなこと言われても、心の準備ってもんが…

それに、信じる信じないというより…

本当に、私が会いに行ったところで、久世玲人は受け入れてくれるんだろうか…

健司の言う通りになるの…?ていうか、健司はなんでそこまで説得にかかるの…?

久世玲人が話したいと望んでるわけでもなさそうだし…


だったら……、

………も、もしかして…


「健司君は…その…、……ヨリを戻せって言いたいの…?」


確認するように呟くと、健司はまたニコリと笑った。


「まぁ、正直それもあるけど、さすがにそこまで強要できないし。……俺たちはただ、アイツにもう一回チャンスをやりたいんだ」


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