いつわり彼氏は最強ヤンキー［完］
「……チャンス？」

「そ。それをモノにするか、フイにするかはアイツ次第。それでも、アイツがまだやっぱり意地を張るようなら、俺ももう何も言わない」

「それって…」

「だから、玲人を想う気持ちがまだ少しでもあるなら、会ってやってほしい」


「…………」


それって…、久世玲人がヨリを戻そうとするかもしれないってこと…？

そんなまさか…。

でも、健司が冗談を言ってるようにも見えないし…。


………私は、どうしたらいい…？

困惑しながら、健司を見つめ返して考えていた。


でも、どちらにせよ、健司が言っていることは憶測にすぎないと思う。

久世玲人が私に対して、本当にそんな想いを抱いているかは分からない。

私をもう一度受け入れようとするかは分からない。

でも、どこか確信を持っているような、私たちを見透かしているような健司の目に、心が揺らぎ始めている。


「どう？会ってくれる気になった？」

「………」


会うのは恐いけど…苦しいけど…

このまま何もせず辛い想いのままでいるより、何らかの決着をつけてすっきりしたいという思いもある。

それに、確実な根拠がないからって、皆の言葉を信じないままじゃ…

いつまでも恐がってたら、確実に後悔する…

何もできない、何も言えない、流されるままで、自分から行動を起こせない、そんな弱い自分を変えたい。

動かなきゃ、何も始まらない…



「……あ、会いに……行く……」


気が付いたら、言葉が出ていた。


その瞬間、ホッと安堵の息を吐き出しながら「よかった」と小さく呟く健司の声が聞こえた。


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